岐阜県郡上市、棚田に囲まれた小さな古民家。ここは、信頼性技術士事務所が運営する、紹介制・1日1組限定の古民家ワークスペース「里山オフィス」です。
ここで過ごす時間に、決められた目的や学びはありません。いつもの仕事をする。手を休めて外を見る。畑に出て土や草に触れる。そこにいる人と言葉を交わす。そうした一つひとつを、そのまま味わうための場所です。
都市と里山、仕事と暮らし、日常と非日常。どちらか一方を選ぶのではなく、その間を行き来することで、それぞれの良さが見えてくる。普段は当たり前に思っていることを、あらためてありがたいと感じられる。里山オフィスは、そんな時間が生まれる場所を目指しています。
「ハレ」は特別な時間、「ケ」は普段の暮らし。ただし、都市と里山のどちらがハレで、どちらがケかは、人によっても、その時々によっても変わります。
都市で暮らす人にとって、里山は初めのうちは非日常かもしれません。それでも何度か訪れ、仕事をしたり、人と言葉を交わしたりするうちに、少しずつ日常の一部になっていきます。そして都市へ戻ると、便利さや人の多さなど、それまで当たり前だったものの良さにも気づきます。
どちらが優れているかを比べるのではなく、二つの場所を行き来しながら、それぞれを味わう。その往来そのものを大切にしています。
窓の外には山や棚田が広がり、季節や天候によって風景は変わります。人の都合では動かせない大きな自然の中で、私たちは座卓に向かい、目の前の小さな仕事を一つずつ進めます。
自然を思いどおりにしようとせず、その日の暑さや寒さ、雨や雪を受け入れながら、そのときにできることをする。何もしないのではなく、無理に逆らわず、自然の流れに沿って手を動かす。そこには「無為自然」に通じる過ごし方があります。
仕事の合間には、畑に出て、草刈りや野菜の手入れ、収穫などをすることもできます。農作業への参加は自由です。何かを学ぶためではなく、気が向いたときに土や草に触れ、また目の前の仕事に戻る。そうした時間も、ここでの一日の一部です。
「足るを知る」とは、不便を我慢することではなく、すでにあるものに気づくことだと考えています。
自然があること。仕事のできる場所があること。食べ物が育つこと。困ったときに声を掛けられる人がいること。いつもそこにあるものほど、当たり前になり、そのありがたさを忘れやすいものです。
里山オフィスは、不特定多数の方が出入りする場所ではありません。当方と面識のある方、またはその方からご紹介を受けた方に限定し、顔の見える範囲でひらいています。
交流を無理に求めることはありません。それぞれの時間を尊重しながら、必要なときには声を掛け合う。地方に残る人と人とのつながりや、いただいたご縁を大切にできる場所でありたいと考えています。
里山オフィスでは、運営者も同じ古民家で仕事をしながら、1日1組をお迎えします。場所を貸し切っていただくのではなく、同じ古民家の中で、それぞれの仕事や作業をしながら過ごすかたちです。
参加する方には、「お客様」というより、この古民家をともに使い、手入れし、次へつないでいく「使い手」であってほしいと考えています。
子どもの頃、使った教室を自分たちで掃除したように、帰る前には使った場所を整える。ときには、希望する方と一緒に障子を張り替えたり、草を刈ったり、季節を迎える準備をしたりする。この場所への感謝を、言葉だけでなく、小さな手入れとして返していく関係です。
もちろん、できることは人によって異なります。障子張りや草刈りなどへの参加を義務にするものではなく、互いに比べたり、貢献の大きさを評価したりするものでもありません。まずは、自分が使った場所を整えて帰る。それぞれが、できるときに、できることを少しだけ持ち寄ります。
使う人にとって心地よい場所であり、古民家にとっても、人の手が入りながら大切に受け継がれていく場所であること。人と場所のどちらか一方だけが受け取るのではなく、ともに喜ばれる関係を目指しています。
※間取りは、建物内の配置をご案内するための概略図です。実際の縮尺や寸法とは異なります。
希望される方は、障子張りや草刈り、季節ごとの掃除など、古民家や周囲の環境を整える作業に参加できます。
古民家を使うだけでなく、自分たちで少しずつ手を入れ、次に使う人へつないでいく体験です。参加は自由で、作業内容は季節や当日の状況によって異なります。
障子張り体験参加費:障子1枚につき1,500円
材料と道具はこちらで用意します。古い障子紙をはがすところから、新しい障子紙を張るところまで一緒に行います。
里山オフィスの周囲では、大和自然農園として果樹や野菜を育てています。訪れた方は、希望に応じて、その日に行っている畑仕事や収穫に一緒に関わることもできます。
農作業は特別なプログラムではなく、この場所の日常の一部です。
里山の時間の中で、自分の在り方を1枚に書く
里山オフィスでは、自分の「綱領」を1枚に書くワークショップを行っています。古民家の手入れ体験と同じく、希望される方だけの時間です。
綱領とは、自分は何者か、世界をどのように見ているか、何を大切にしているか、何に気を付けるか、日々をどう過ごすかを、短い言葉でまとめたものです。企業のMVVや自己啓発の目標とは少し違い、日本の綱領や家訓に近いものと考えています。
都市の日常の中では、自分の考えをあらためて言葉にする機会はあまりありません。畑で土に触れ、窓の外の山を眺め、こたつに入ってゆっくり考える。そうした時間の中で、どんな言葉がわいてくるのか、どんな気づきがあるのかを大切にしています。
書くこと
綱領は、次の5つで構成します。幹から枝・葉へと、上から順に書いていきます。
存在意義(MISSION):私は何者か
想像した世界(VISION):世界とはどのようなものか
価値観・考え方(VALUE):私は何を大切にしているか
気を付けること(AWARENESS):私は何に囚われやすいか
実践(PRACTICE):今日から何をするか
それぞれの項目には、書くための問いを用意しています。問いに答えながら、しっくりくる言葉を選び取っていきます。
この時間の方針
正解はありません。上手に書くことより、自分の言葉で書くことを大切にします。
他の人の綱領を評価しません。
書いたものを人と共有するかどうかは自由です。読めるところだけで大丈夫です。
綱領は一度決めたら終わりではなく、自分の成長に合わせて書き直すものです。
過ごし方
ワークシートに沿って、自分のペースで書きます。1つの項目だけ書いてもかまいません。
書き上げた綱領は、額に入れて飾れるA3サイズの清書用フォーマット(PowerPoint形式)に入力して、データとしてお持ち帰りいただけます。コンビニエンスストアなどでA3に印刷して、飾ることもできます。
一晩おいて読み直すと、言葉が変わることがあります。ご自宅に持ち帰り、翌朝にもう一度読んでみてください。
畑仕事や古民家の手入れと組み合わせて過ごすこともできます。
参加について
里山オフィスをご利用の際に、ご希望に応じて行います。参加は自由です。
所要時間の目安:2〜3時間
参加費:一組あたり1,500円(里山オフィスの利用料とは別にいただきます)
里山オフィスへの参加や見学をご希望の方は、「お問い合わせ」からご連絡ください。
ご希望の日時、参加人数、当日の過ごし方をお知らせいただけると、その後のご案内がスムーズです。
A:当方と面識のある方、またはその方からご紹介を受けた方にご参加いただいています。紹介のない方の一般参加は受け付けておりません。
A:はい。事前にご連絡いただければ見学していただけます。ご希望の日時をお問い合わせください。
A:はい。運営者も同じ古民家で仕事をしています。場所を貸し切っていただくのではなく、同じ空間でそれぞれの仕事をしながら過ごすかたちです。
A:PCや作業道具など、ご自身の目的に応じてお持ちください。農作業に参加される場合は、長袖・長ズボン・長靴があると安心です。冬季は室内でも冷え込みますので、防寒着など暖かい服装でお越しください。
A:はい。室内で飲食していただけます。食事や軽食はご持参ください。キッチンの水は沢水のため、飲用はおすすめしていません。飲用できる井戸水もありますが、気になる方は飲料水をご持参ください。
A:冷房設備はありません。7~9月は気温によって室内が非常に暑くなるため、暑い日の参加はおすすめしていません。暖房設備はこたつのみですので、冬季は暖かい服装でお越しください。
A:お帰りの前に、使用した場所や道具の片付け、簡単な掃除をお願いしています。掃除も、この古民家をともに使い、手入れしていく時間の一部と考えています。
A:いいえ、参加は自由です。ご希望と季節、当日の状況に応じてご参加いただけます。できることを、無理のない範囲でお楽しみください。
A:予約制ですが、運営者の予定や季節、天候によってはお受けできない場合があります。ご希望日が決まりましたら、お早めにお問い合わせください。
A:はい。キャンセルや日程変更をご希望の場合は、できるだけ早めにご連絡ください。キャンセル料はいただいておりません。
A:宿泊施設ではないため、宿泊での利用はお受けしていません。近隣の宿泊施設をご案内することはできます。
A:現金または銀行振込でお願いいたします。